今春から高校野球で導入された新基準の低反発バットの影響で、高校野球春のセンバツ大会の本塁打数が激減しました。
そんな中、バットを販売している5社が新基準を満たしていないことがわかり、19日から使用できなくなりました。
使用できなくなった影響は?
そもそも基準を変えた理由は?
ホームランが出にくくなって、プロのスカウトの反応は?
など気になったので調べてみました。
よかったら最後までお付き合いください。
新基準満たさず使用不可に!
画像出典:NHKニュース
製品安全協会がバットを調査したところ、14のメーカーのうち5社が販売しているバットについて、基準を満たしていないことがわかったとして、19日から使用を禁止すると発表しました。
使用が禁止されるのは
▽XANAX
▽三共スポーツ
▽ハイゴールド
▽イソノ
▽ボルテカ
の5社が販売しているもので、いずれも金属の厚みが基準の4ミリ以上を満たさない3.5ミリ程度だということで、反発力を抑えられず打球が速くなる可能性があるということです。
5社のバットはいずれも中国の同じ工場で製造されているということで、事前の検査の際には基準を満たしていましたが、大量生産された製品には問題があったとしています。
すでに出荷されている3300本余りの5社のバットは自主回収され、高野連では加盟校に代わりのバットを配布するとしています。
なお先日行われていたセンバツでは、一部で基準を満たさないバットが使用されたということですが、高野連は記録は取り消さないとしています。
(大会中に出たホームランはいずれも新基準を満たしたバットで打ったそうです)
新基準・低反発バットに変更した理由は?
高野連が定めた新基準のバットは現行のバットよりも細く、厚くして低反発で打球速度が抑えられるもので、より木製バットに近いものになりました。
2022年から2年間の移行期間を経て2024年より導入されます。
目的①「投手の怪我防止」
打球速度を抑えて投手の受傷事故を防ぐことが目的です。
投手からホームまでの距離は18.44mですが、投手は投げた勢いで前に出るので、投球後はさらに1mほど距離が縮まります。加えて、打球が投手に到達するまでわずか0.4秒しかないので、ピッチャーライナーなどは避けられず怪我につながることがあるのです。これまで、打球が投手の顔面に直撃し頬骨を骨折する事例がありました。
金属バットの危険性から「反発を抑える必要がある」との声が上がり、見直しに乗り出しました。
目的②「『打高投低』の傾向の調整」
投打のバランスを均一にするためです。従来の金属バットは打球をよく弾くので、当たりどころが悪くてもヒットになりやすく、また飛距離が出やすかったのです。ですが新規定の低反発バットは反発が弱いので飛距離が出にくく、圧倒的な「打者有利を改善」する狙いがあります。
目的③「投手の負担軽減」
投手の球数抑制と肘への負担を軽減する目的もあります。
投手の疲労軽減のために「1週間500球以内の投球数制限」に加えて、バットの見直しがされました。
投手の負担軽減を目指す上で、金属性バットの反発性能を抑制する必要性を求める声が上がり、打球速度を抑えることで投手の負担を軽減する狙いがあります。
現在の金属バットは芯が広く飛距離が出やすいので、投手は変化球を織り交ぜて球数が多くなってしまいます。つまり、以前よりも投手不利な状況が作り出されなくなるので、球数も抑えられるというわけです。
引用:スポジョバ
いずれも投手を守るためという理由で導入されました。
ホームランが減り、スカウトの反応は?
ここ最近、特に打者でプロ入りする人は「高校通算〇本塁打」という評価の仕方が多かったと思うのですが、飛ばしにくいバットになってスカウトの方々はどう思って言うのでしょうか?
高校通算本塁打が減ることについてプロ野球のスカウトはどう感じているのか。某球団のスカウトに尋ねると、「全然気にしてない」と断言した。選手の能力を見極める上で、本塁打数については「そこは議論にはならない。相手のレベル、球場の環境、試合数も違う。本数よりも打球の質の方が大事」との説明を受け、納得した。「20発、30発打ってる選手と5本の選手との(能力の)差が小さくなってくるから、余計に(打撃)練習をしっかり見ないといけない」と話した。
引用:日刊スポーツ
ホームランの数に踊らされず、しっかり打撃内容や打球を見て判断するということでしょうか!
さすがプロのスカウト陣ですね♪
低反発の金属バットより木製バットにしたら?
ふと、「金属バットをわざわざ低反発にするならプロみたいに木製バットにしたら?」
と疑問に思ったので調べてみたんですが…
木製バットに変えるには材料となる木材の確保が困難だということと折れてしまうのでコストもかかるし、それこそ危ないということでした。
プロ野球でも木製バットが折れて大けがする事故がありました。
【閲覧注意】※グロテスクなシーンが流れます。
折れたバットが直撃した伊藤投手はこの大怪我から復帰するも、負傷した足をかばう投球フォームとなったため、色々な箇所の故障を多発し数年後現役を退くこととなります。
低反発バットはデメリットばかりじゃない!?
今回導入された低反発バットは確かに従来の金属バットと比較すると打球が飛びにくくなりました。
しかし、そのことが悪いことばかりではないようです!
打者の技術向上のメリットがある!
実はこれまで金属バットに頼ることによる「技術習得の鈍化」も叫ばれてきました。
木製バットでは「投手の球に詰まったら終わり」が常識ですが、金属バットは弾きが良い分「詰まっていても力で持っていけばヒットになる」「泳がされても跳ぶ」のです。
ですが、プロ野球で小手先だけの金属バット打法は通用しないのです。
従来通り「金属バット」であることに変わりありませんが、「低反発バット」は金属バットの反発係数が落ちるため、球をよりバットの芯で捉えないと飛ばなくなります。肉厚の薄い現在の金属バットから木製バットに対応するのは難しく、超高校級の選手がプロ入り後に苦労した例は挙げればキリがありません。
つまり、より高いレベルでのバッティング技術が求められるようになるということです。
実際、今年の春のセンバツ大会で木製バットで練習してきたという選手も何人か居ました!
まとめ
今回は今年の春から本格的に導入された新基準の低反発の金属バットについてまとめてみました。
高校球児のみなさんは日頃から一生懸命練習されていると思いますが、昨日まで使えてたバットが今日から使えない事態になるなど少し可哀想な状況ではあります。
導入を決めたのなら市場に出回る前の検査の段階で、何とか止めてほしかったという思いが強いです。
ただ、高校球児のみなさんはこれにめげず夏の大会で自分の力が発揮できるように残りの期間、精一杯野球に打ち込んでほしいなと思います(^^♪
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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